母は、やっと店をやめることにした。
ひとりでステーキ屋を営むには歳をとりすぎた。64歳で始めて83歳までよく続けたなって思う。

母の生活は、ある意味規則正しい。一般的なお勤めや学校へ通う人のような規則正しさとは違う。でも、毎泡、同じ時間に、それも早朝に起きて、その日の気になることをまずかたづける。そして、一般的な朝がやってくると外出する。数年前までは歩く運動をかねて区営のプールへ行っていた。
プールでまた、歩くのだ。毎日、毎日、行くうちに、プールで出会う人たちと親しくなって話をする。そこでのおしゃべりが楽しかったから続いたんだろう。
若いときから患っていた糖尿部も、一時は克服するくらいまで健康になっていた。

今は、歩く運動をかねて、2駅くらい先の駅まで歩く。そしてお気に入りのカフェに入る。
母は、いつもひとりででも出かける。基本は、いつもひとりだ。